【編著者】
豊田秀樹・編著 (2012年4月)
東京図書
【執筆者】
鈴木綾子,室橋弘人,池原一哉,中村健太郎,
福中公輔,鈴川由美,岩間徳兼,久保沙織,
秋山 隆,大橋洸太郎,大久保治信
因子分析(factor analysis)は,20世紀初頭に心理学の研究過程で生まれ,現在,多くの学問分野で広く利用されている統計手法です。本書は因子分析の入門的解説書であり,執筆に際しては,理論的に正確な記述を行いながら,初学者に分かり易い説明をすることを心がけました。また因子分析に関する応用上重要な話題を,できるだけ広く紹介します。
初めに,卒業論文やレポートで緊急に因子分析をする必要に迫られた御用と御急ぎの文科系の学部の学生さんは、第1章と付録の入門統計学だけを読んでください。もし,幸いにも,半期の統計学の授業を受けた経験があれば,第1章だけを読んでください。他の章は全く読まずとも,第1章だけで因子分析を使って卒業論文やレポートを書くことができるようになります。中学校までで習った数学しか使いませんから,高校時代に数学を全く勉強していなくてもかまいません。しかし,たとえ話をするのではなく,式を使ってしっかりと因子分析を説明します。本書は,まず緊急時の救急な実践書としてご利用いただけます。
次に,因子分析を実践し、投稿論文やレポートを書こうとしている大学院生・研究者の方達は、第2章も第3章もを読んでください。第2章では心理検査を作成する場合に必要となる1因子解に焦点を当てて解説をします。第3章ではアンケートデータによく登場する質的データの分析方法を紹介します。
そして第4章以降では、本格的な因子分析の解説がなされます。第4章では因子数の決め方を、第5章では因子負荷の推定法を、第6章では回転法を、第7章では因子スコアを、第8章では使用上の留意点を詳述します。第9章では確認的因子分析(confirmatory factor analysis, CFA)を解説します。付録には、統計学入門ばかりでなく、線形代数入門と、関数faの詳しい解説を載せました。本書は因子分析の理論的な学習のための教科書としてもご利用いただけます。
登場する具体例は,すべて,フリーのソフトウェアでオープンソースのRを用い,読者自ら追計算することができます。東京図書のWebサイト(http://www.tokyo-tosho.co.jp/)のこの本の紹介のページから入手することが可能です。
本書が,因子分析に興味を持つ各方面・各段階の読者のお役に立つよう,著者一同,心から願ってやみません。
(本書まえがきより)
目次
まえがき
第1章 速習・因子分析
第2章 1因子解と項目分析
第3章 質的因子分析
第4章 因子数の決定
第5章 因子負荷の推定
第6章 回転
第7章 因子スコアの推定
第8章 分析結果の診断
第9章 確認的因子分析
付章A 統計学初歩
付章B 線形代数
付章C Rのfa関数ヘルプの日本語訳