Regression

  【編著者】
  豊田秀樹・編著 (2012年1月)
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  朝倉書店

  尾崎幸謙,川端一光,岩間徳兼,鈴川由美
  久保沙織,池原一哉,阿部昌利,大橋洸太郎
  秋山隆,大久保治信 

 回帰分析(regression analysis)は、数ある統計手法の中でもっとも実用に供されることが多く、自然科学・工学・医学・人文科学・社会科学から、行動科学に至るまで、広範囲の学問分野で頻繁に利用されています。本書は回帰分析の入門的解説書です。執筆に際しては、理論的に正確な記述を行いながら、初学者に分かり易い説明をすることを心がけました。また回帰分析に関する応用上重要な話題を、できるだけ広く解説します。

 登場する具体例は、すべて、フリーのソフトウェアでオープンソースのRを用い、読者自ら追計算することができます。Rによるスクリプトは、各章に設けられた付節の中で、当該章の分析を再現するコードをまとめて掲載しています。1行1行打ち込んでもよいのですが、スクリプトは東京図書のHPからダウンロードできるようになっていますから、それを利用して学習することをお勧めします。付節のスクリプトは確認用に使ってください。また付節には、本文中で割愛した式の導出の一部を掲載しました。付節の式展開は必ずしも全てを追う必要はありませんが、手法の本質的な理解にとって式の展開は重要ですから、興味に応じて利用してください。

 理論の説明とスクリプトは、本書では完全に分離されています。それは読者の方に、まず理論をきちんと学んで欲しかったからです。数理モデルとしての回帰分析が理解されているならば、Rのスクリプトは容易に理解できます。とりあえずスクリプトを実行し、本文の出力と比較しヘルプを参照することでRの関数の機能は容易に理解できます。統計手法を深く理解するためには、理論とスクリプトを分けて学習する習慣はとても大切です。そうすることにより、長い目で見たときに、特定のソフトウェアに縛られず、どんなソフトでも回帰分析を実行できるようになるからです。

 回帰分析は奥が深く、データの興味深い知見を分析者にもたらしてくれる素晴らしい統計手法です。本書を通じて、回帰分析の楽しさが少しでも伝わるなら、著者一同こんなにうれしいことはありません。 (本書まえがきより)


  目次
   まえがき
第1章 ことはじめ
第2章 単回帰分析
第3章 変数間の関係性を考慮した単回帰直線
第4章 予測変数が2 つの場合の回帰分析
第5章 重回帰分析(その1)
第6章 重回帰分析(その2)
第7章 ロジスティック回帰分析
第8章 ポアソン回帰分析
第9章 階層線形モデル